言葉のきまり、つまり文法は、言葉の運用の仕方の学習に欠くことのできない重要な要素であるにもかかわらず、その学習は敬遠されがちです。
本巻では、クイズ形式や生活の中での具体例などを取り込んで、気軽に楽しく文法の学習をさせる方法を具体的に解説します。
日常生活で何気なく使い、耳にしているのに、実は言葉のきまりを外れているものが少なくありません。言葉のきまり(文法)を知らないために起きる様々な間違いの事例、近年誤用例として議論の種になっている様々な事例を、実際の場面に再現して、言葉のきまり(文法)を知ることの重要性を解説していきます。
・《ら抜き》言葉
・《さ入れ》言葉
・「千円から、お預かりします」
・「ぼくは、ゆで卵だ!」 他 |
<“ら抜き言葉”のシーンより>
「お母さん、こんな辛そうなの、わたし、食べれないよ。」
「まあ、これくらい、食べれるんじゃないの。」
「あのなぁ、辛い食べ物の話じゃなくて、お前たちの、その 『食べれる』という言い方だけど、なんとかならないのか。」
「また、その話?」
「ちゃんと直すまで、お父さんは、何回だって言うぞ。
『食べられる』 『食べられない』というのが、日本語文法の真の姿なんだ。『食べれる』『食べれない』じゃ、間が抜けてる。」
「お父さん、抜けてるのは『ま』じゃなくて、『ら』でしょ。」
「ん?そういうことだ。…お母さん、この料理、辛い。」
「ほーらね、やっぱり辛いんだ。辛いの、いやだ。食べられられない。あ、違う。食・べ・ら・れ・な・い。ああ、言いにくい。」
上田さんとお兄さんが使っていた『食べれる』『食べれない』という言い方を、一般に《ら抜き》言葉といいます。・・・・・・言葉は生きています。文法もまた、時代とともに変化します。・・・・・・しかし、今はまだ『食べれる』を、言葉として正しくない、不自然だ、と思う人がいることを、しっかり覚えておきましょう。 |
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