指導者のことば
「古典学習の糸口としての活用を!」
岡田美也子
千葉敬愛短期大学助教授
中学校は、古典学習の入門期である。教室でこれと出会う時のとまどいを少しでも解消するために、この「アニメ古典文学館」は、有効なメディアとなろう。その特質から次のような活用を提案したい。
一、 導入として鑑賞し、作品の成立や概要について学ぶ。――このアニメでは、作品の解説が一つのストーリーの中で見やすく、分かりやすくなされていて、文字資料より学習時の心理的負担が軽くなるよう工夫されている。よって、導入段階で作品への関心を引き出すのに適している。
二、 本文学習の段階で鑑賞し、古語に対する理解を深める。――このアニメでは、教科書教材を映像と原文朗読でたどっている。これを活用することで、単なる現代語への置き換えではなく、生きた古語を場面と共に学ぶことができる。
一般的にアニメは、想像力を削ぐものとされがちである。しかし、古典学習においては、日常生活にない言葉の意味・用法や場面・状況をイメージするための糸口として、積極的な活用を期待したい。
●岡田美也子(おかだ
みやこ)
1971年兵庫県生まれ。2001年お茶の水女子大学大学院人間文化研究科修了。日本中世文学専攻。博士(人文科学)。現在千葉敬愛短期大学初等教育科助教授。論文に「『今物語』の『源氏物語』『枕草子』享受−第三話を中心に−」(『お茶の水女子大学人間文化論叢』2)、「繁昌社の縁起伝承とその展開−『宇治拾遺物語』第四七話を起点として−」(『説話文学研究』35)、「教員養成課程における説明能力の育成への実践的試み−「箱の中身当てゲーム」で説明のし方を考えさせる−」(共著、『千葉敬愛短期大学紀要』25)など。
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