「アニメーションによる
　シェイクスピア名作集」について

日本語字幕版監修 河合祥一郎 (東京大学大学院総合文化研究科教授)

たった26分でシェイクスピアの名作を最初から最後までたっぷりと味わえて作品鑑賞の満足感も得られるとしたら、どんなにいいだろうか。このアニメーション版シェイクスピア名作集はその夢を実現してくれた。
なにしろ、シェイクスピア学会の大御所スタンリー・ウェルズの監修だから、台詞はほぼ原作通りで、要所はすべておさえてある。しかも声優として、ヒュー・グランドが「十二夜」のセバスチャンを、ゾーイ・ワナメーカーがマクベス夫人を担当するなど、驚くほど贅沢なキャスティングだ。
さらに、各作品をそれぞれ違うアニメーターが手掛けて、人形を使ったり、絵を使ったりと、すべて異なった作風で完成度の高い芸術作品に仕上げている。エミー賞、英国ウェールズアカデミー賞、ニューヨークフェスティバル金賞など多くの賞を総なめにしたのも当然だ。
その親しみやすさから、授業で使うにも最適だろう。シェイクスピア表象の一形態として粋を極めていることを、その目で確かめていただきたい。