監修者のことば

三木紀人

お茶の水女子大学名誉教授・城西国際大学教授

この仕事を引き受けたとき、「平家物語」に関しては沢山似たようなものがあることを知っていたので、映像に注力しテレビ番組等は全て録画し参考資料とした。時間的な制約や経済的な制約があって、その時はかなり内心では不安があった。

完成した５巻を全部見届けた後で思うと、その時に思っていたよりも遥かに立派なものができたと思う。それは、関係各位の努力と精密さというか、職人魂といって良いのか、とても一生懸命製作してもらった。そして、今回私の注文は全て受け入れてもらった。

 また、岡山市の林原美術館のご好意により、所蔵されている全１２巻の壮大な「平家物語絵巻」を効果的に使うことができた。非常に考証の行き届いたよい絵巻である。
出演者をはじめ演出、映像、音声など皆さん最高のスタッフであり、多分これ以上の作品はできないだろうと自負している。

◆三木紀人（みき すみと）
1935年兵庫県生まれ。1966年東京大学大学院博士課程修了。日本中世文学専攻。お茶の水女子大学教授を経て、現在同大学名誉教授、城西国際大学人文学部教授。著書に『徒然草 全注釈』、『方丈記・発心集』、『鴨長明』、『日本周遊古典の旅』など多数。
サン・エデュケーショナルのビデオシリーズに『アニメ古典文学館』（既刊6巻）、『平家物語 人物紀行』（全5巻）、『古典名作撰』（全15巻）がある。